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下山 巖; 馬場 祐治; 平尾 法恵*
Advances in Engineering (Internet), 1 Pages, 2018/02
有機デバイスの性能は有機薄膜中の分子配向に大きく依存する。したがって有機分子の微細配向制御はデバイス集積化に必須の技術であるが、その手法はまだ確立していない。我々はイオンビームによりヘテロ原子ドーピングを行ったグラファイト基板上にポリジメチルシラン(PDMS)薄膜を蒸着することで有機薄膜の微細配向制御を試みた。未照射基板上でPDMS薄膜は垂直配向をとるのに対し、Arイオン照射を行った基板上ではランダム配向、Nイオン照射を行った基板上では垂直配向をとることをX線吸収分光法の偏光依存性測定と分子軌道計算により明らかにした。さらに、数十ミクロン周期のパターンのNイオン照射を行ったグラファイト基板上でPDMS薄膜が配向構造に起因するパターンを示すことを光電子顕微鏡により明らかにした。以上の結果は、この手法が有機分子の微細配向制御に対して有効であることを示している。
下山 巖; 馬場 祐治; 平尾 法恵*
Applied Surface Science, 405, p.255 - 266, 2017/05
被引用回数:1 パーセンタイル:5.94(Chemistry, Physical)イオンビームによりヘテロ原子ドーピングを行ったグラファイト基板上に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)薄膜の配向構造を調べるため、吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた。Si 端NEXAFSスペクトルは非照射基板上とN照射基板上で互いに逆の傾向を示す偏光依存性を示し、Arイオン照射基板上では偏光依存性を示さなかった。第一原理計算によるNEXAFSスペクトルの理論的解釈に基づき、PDMSは非照射基板で水平配向、N照射基板上で垂直配向、Ar+イオン照射基板上でランダム配向をとることがわかった。我々はさらに光電子顕微鏡を用いた分析を行い、同一基板上で照射・非照射領域が分離した表面でPDMS薄膜がmオーダーで異なる配向を持ちうることを見いだした。これらの結果は集光イオンビームを用いたグラファイトの表面改質が有機薄膜のための新たな微細配向制御法となる可能性を示唆している。
竹石 敏治*; 片山 一成*; 西川 正史*; 正木 圭; 宮 直之
Journal of Nuclear Materials, 349(3), p.327 - 338, 2006/03
被引用回数:6 パーセンタイル:41.45(Materials Science, Multidisciplinary)本報告ではJT-60Uの重水素放電時に使用された等方性グラファイトバルク並びにCFCタイルバルクに蓄積されているトリチウムの放出実験を行い、タイルバルクからのトリチウム放出挙動や回収方法についての検討を行ったものである。今回トリチウム放出に使用したいずれのタイル試料も、放出前のSEM観察により明確なタイル表面での再堆積層の形成が認められなかった部分のものであり、タイルバルクからのトリチウムの放出挙動として扱うことができると考えられる。どのタイル試料においても乾燥ガスパージによって拡散によりタイルから放出されるトリチウムの一部はいったんバルク内の水酸基等にトラップされるためタイルに残留する。このトラップされたトリチウムの短時間での放出には同位体交換反応が有効であった。しかしながら、昇温操作(1200C)による高温状態での交換反応による回収操作を行ってもまだタイルに捕捉されているトリチウムの約1%は残留し、すべてのトリチウムの短時間での回収には酸素燃焼を行う必要があることがわかった。燃焼法については等方性グラファイト,CFCタイルともに約600C以上で燃焼が確認されたが、800C付近が有効な燃焼温度であることが判明した。
竹石 敏治*; 片山 一成*; 西川 正史*; 宮 直之; 正木 圭
Fusion Science and Technology, 48(1), p.565 - 568, 2005/07
被引用回数:1 パーセンタイル:10.45(Nuclear Science & Technology)JT-60Uの第一壁及びバッフル板に使用された等方性グラファイトタイルに捕捉されたトリチウムの定量並びに回収法の検討を行う目的で、乾燥ガスパージ,同位体交換並びに酸素燃焼によってトリチウムの回収を行った。その結果は以下の通りである。(1)真空容器内のどの位置の等方性グラファイトタイルにも、800C-1200Cでの乾燥ガスパージ直後の水蒸気を利用した同位体交換によって回収されるトリチウムが存在した。これはグレイン内部から拡散したトリチウムが一旦グレイン表面にトラップされ、水蒸気中のHと交換する形で放出したものであると考えられる。(2)その後の1000Cでの酸素燃焼によりいずれのタイルからも全放出量の1-21%のトリチウムが放出され、全トリチウムの回収には燃焼法が必要であることがわかった。(3)グラファイトバルクの酸素燃焼は600C以下では起こらない。(4)グラファイトバルクに残留する全トリチウムの回収は酸素燃焼法により可能であるが、グラファイトバルクの燃焼は650C以上が必要なため、真空容器内に据え付けた状態でのトリチウム回収は難しいと考えられる。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.437 - 441, 2005/06
被引用回数:3 パーセンタイル:17.62(Spectroscopy)表面における配向を化学結合種ごとに分析する新しい実験手法を開発した。偏光NEXAFS法はX線吸収スペクトル測定により表面の結合状態や配向方向を決定する手法である。軟X線領域ではX線吸収測定のためには通常全電子収量を測定する。本研究においては放射光励起に起因する脱離イオンの質量分析を行い、X線励起エネルギー依存性及びその偏光依存性を測定することにより個々の化学結合について配向解析を行う実験を試みた。系としては核融合第一壁において重要とされる重水素イオン照射グラファイトを用い、脱離するH及びDイオンを観測した。また高配向グラファイト単結晶を出発物質として使い照射による配向の乱れを観測した。電子収量はC-HとC-Dの平均構造を与えるのに対し、D収量は照射により生じたC-D結合周辺のみの局所構造を与える。Hは未照射領域のC-H結合の情報を与える。
片山 一成*; 竹石 敏治*; 眞鍋 祐介*; 永瀬 裕康*; 西川 正史*; 宮 直之
Journal of Nuclear Materials, 340(1), p.83 - 92, 2005/04
被引用回数:8 パーセンタイル:49.16(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60U W型ダイバータ領域ドームトップと内側ウィングタイルで使用されたグラファイトタイルからのトリチウム放出挙動を、Ar, H/Ar, (O+HO)/Ar雰囲気での昇温脱離法により調査した。その結果は以下のようである。(1)Ar雰囲気中で1000Cに加熱した後、なお総トリチウム蓄積量に対しておよそ20-40%がタイル内に残留していた。この残留トリチウムは、1000C以上の温度でH/Arもしくは(O+HO)/Arガスに曝すことにより回収された。(2)トリチウム蓄積量は、ドームトップで84-30kBq/cm、内側ウィングタイルで8-0.1kBq/cmと求まった。トリチウム濃度は、ドームトップで最も高く、ウィングタイル端にかけて減少していることがわかった。(3)段階昇温過程でのトリチウム放出曲線から放出開始温度を推定した。放出開始温度は、ウィングタイル端で最も高く、ドームトップで最も低かった。これは、トリチウム蓄積分布と逆の傾向である。放出開始温度は、プラズマ放電中のタイル表面温度を反映していると考えられ、タイル表面温度が高いほどトリチウム蓄積量が少ないことを示している。(4)タイルの深い位置からも微量のトリチウムが放出された。これは、分子状トリチウムがグラファイト細孔内を拡散し、グレイン表面から吸収されたことを示している。
Uddin, M. N.; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 永野 正光*
Applied Surface Science, 241(1-2), p.246 - 249, 2005/01
被引用回数:8 パーセンタイル:37.11(Chemistry, Physical)類似化合物であるグラファイトと六方晶窒化ホウ素はそれぞれ半金属と絶縁体であって電子構造は全く異なる。これにより両者のハイブリッド材料(B-C-Nハイブリッド)半導体的性質を持つことが期待されている。われわれはB-C-Nハイブリッドを合成するためにグラファイトにボラジン(BNH)をイオン注入することによりB-C-Nハイブリッド合成を試みた。実験は高エネルギー加速器研究機構放射光施設で行った。室温及び、YAGレーザーで600Cに加熱したグラファイトに3keVに加速したボラジンのプラズマをさまざまなフルエンスで打ち込み、B原子周囲の化学結合状態について光電子分光法(XPS)を用いて調べた。室温,600CでのB1s XPSスペクトルはともにB-C, B-N, B-C-N結合に由来するさまざまな成分を示したが、各成分の強度比は温度とフルエンスに大きく依存した。特にB-C-Nに帰属されるピークは室温で合成した試料に比し600Cで合成した試料において大きく成長し、ドミナントな成分になることが確認された。この結果によりB-C-Nハイブリッドは高温でのイオン注入により優先的に合成されることを示した。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 佐々木 政義*; 奥野 健二*
Journal of Vacuum Science and Technology A, 21(6), p.1843 - 1848, 2003/11
被引用回数:6 パーセンタイル:28.18(Materials Science, Coatings & Films)炭素同素体と窒化ホウ素(BN)の多形は互いに類似した結晶構造を持ち、そのハイブリッド化合物(B-C-Nハイブリッド)は新しい半導体材料となることが期待されている。しかしその合成方法は未だ十分確立されてはいない。われわれはイオン注入法によりB-C-Nハイブリッドの合成を試み、X線光電子分光法(XPS)を用いてその状態分析を行った。無機ベンゼンとして知られるボラジン(BNH)をイオン化し、得られるボラジンプラズマを3keVに加速してグラファイトにイオン注入を行った。得られた試料のXPSスペクトルはボラジンプラズマのドーズ量に依存して変化した。低ドーズにおいては、グラファイト表面にボラジンプラズマがイオン注入されることによりB-C, B-N, C-N結合に起因した光電子ピークが観測されたが、ドーズ量が増えるにつれグラファイト上にBNが堆積することによってB-N結合に起因した光電子ピークのみが観測された。これはグラファイト基板とBN薄膜との界面にB-C-Nハイブリッドが形成されたことを示している。
大矢 恭久*; 廣畑 優子*; 森本 泰臣*; 吉田 肇*; 児玉 博*; 木津 要; 柳生 純一; 後藤 純孝*; 正木 圭; 奥野 健二*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 313-316, p.209 - 213, 2003/03
被引用回数:25 パーセンタイル:82.89(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UのDD放電実験を行ったダイバータ領域のタイル(ドームユニット,外側ダイバータ,外側バッフル板)中の水素同位体分析について二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて行った。また、グラファイト,ボロン,酸素の化学状態についてX線光電子分光法(XPS)を用いて分析した。その結果、タイル内部の水素,重水素量はドームユニット,外側バッフル板で高く、外側ダイバータでは低かった。これらの結果からグラファイトタイル中の水素濃度はDD放電実験時のタイル温度,イオンフラックスなどに大きく影響していると考えられる。また、XPSの結果より、ドームユニットの内側部分においてC-1sピーク位置の大きな変化が見られ、タイル表面では炭化水素が形成されていることが示唆され、これらの結果はSIMSの分析結果とよく一致する結果であった。また表面にはボロニゼーションの結果堆積したと考えられるボロンも存在していることが明らかとなった。
村松 康司; Gullikson, E. M.*; Perera, R. C. C.*
X線分析の進歩,34, p.153 - 163, 2003/00
高配向性熱分解グラファイト(HOPG)と六方晶窒化ホウ素(h-BN)の軟X線発光・吸収スペクトル(CK,BK,NK領域)において、/成分比の出射・入射角依存性を測定した。いずれのスペクトルについても/成分比には顕著な角度依存性が観測され、これは軌道と軌道の配向を考慮した解析により説明できた。また、この/成分比の角度依存性から、結晶子のc軸配向の程度を示す情報が得られることが示唆された。
下山 巖
放射光, 15(1), p.12 - 19, 2002/01
窒化炭素はダイヤモンドを越える超硬物質となる可能性が指摘されており、その合成が盛んに試みられているが、合成された材料の原子レベルでの構造はまだ不明な点が多い。われわれのグループでは放射光の偏光特性を用いて窒化炭素薄膜の原子レベルの局所構造を調べ、薄膜中にC≡N三重結合をもつシアン構造、C=Nに重結合をもつピリジン構造,グラファイトのCがNで置換されたグラファイト構造の3つが存在することを明らかにした。本論文では窒化炭素薄膜の局所構造解析に用いた吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)の手法と結果を詳しく解説するとともに、X線光電子分光法(XPS)との比較からその有用性について論じた。
布川 浩*; 頼経 勉; 今吉 祥*; 笠原 芳幸*; 落合 政昭; 石田 紀久
JAERI-Tech 2001-040, 115 Pages, 2001/06
改良舶用炉MRXで採用している原子炉容器内装型制御棒駆動装置の重要な要素技術の一つである高温水中軸受の開発を完了した。本報告書は、軸受けの開発の成果として軸受材料の調査検討から始まって、オートクレーブによる材料浸漬試験、小型試験片での各種転がり摩耗試験、そして、実機軸受による高温水中耐久試験についてまとめたものである。実機高温水中軸受の材料としては、内外輪にステライトNo.1、玉にサーメット、保持器にグラファイトを用いた組み合わせが有望であることがわかった。
阿部 弘亨
炭素素原料科学と材料設計,3, p.5 - 14, 2001/00
イオン注入/照射下においては物質中に格子欠陥を注入イオンが蓄積する。その結果、非晶質化などの相変態や新規注入が形成される。本稿では炭素系において観測される非晶質化ならびに同心球状黒鉛ナノ粒子(カーボンオニオン)について、最近のわれわれの研究成果を総説した。まず、非晶質化線量の温度依存性からイオン注入条件を確立した。すなわち700K以上の高温では非晶質化せず、黒鉛の結晶構造が保持され、イオン注入で形成されるオニオンの結晶構造が安定であるとの指針を得た。またイオン注入後ならびにその場観察実験によって、オニオンの核形成・成長・集積過程を明らかにした。さらに多量生産に関する技術的基盤を整えた。
下山 巖; Wu, G.; 関口 哲弘; 馬場 祐治
Physical Review B, 62(10), p.R6053 - R6056, 2000/09
被引用回数:106 パーセンタイル:95.3(Materials Science, Multidisciplinary)新しい機能性材料として注目されている窒化炭素(CN)化合物の局所構造を明らかにするために、CN化合物の吸収端近傍X線微細構造(NEXAFS)を調べた。3keVの低エネルギー窒素イオンをグラファイトに打ち込み、N 1s NEXAFSの偏光依存性を測定した。その結果、3つの*共鳴構造ピークa(398.3eV),b(399.5eV),c(400.7eV)を観測した。このうち、ピークa,cは、グラファイトのC 1s NEXAFSにおける*共鳴構造と同様の傾向の偏光依存性を示した。一方ピークbはあまり偏光依存性を示さなかった。以上の結果はピークa,cに対応する局所構造がグラファイト構造と同様の配向を持ち、ピークbに対応する局所構造がランダムな配向を持つことを示唆する。以上の結果よりわれわれはピークa,b,cがそれぞれピリジン構造、シアン構造、グラファイト構造をもつCNの局所構造に対応すると結論した。この結果は窒素置換されたグラファイト構造の存在の明らかに示すものであると考えられる。
下山 巖; 関口 哲弘; 馬場 祐治
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 39(7B), p.4540 - 4544, 2000/07
被引用回数:8 パーセンタイル:38.3(Physics, Applied)近年新材料として期待されている窒化炭素化合物の局所的な化学結合状態を調べるため、グラファイトに1keVのNイオンを照射することにより形成した窒化炭素薄膜のN1s,C1sX線光電分子光(XPS)スペクトルを測定した。その結果、窒化炭素薄膜のN1sのXPSスペクトルには3つの異なるC-Nの結合状態に対応した3つのピークが観測された。このピークの帰属を行うため、標準物質のC,N1sの結合エネルギーをXPSで測定し、窒化炭素薄膜のC,N1sの結合エネルギーと比較した。その結果からN 1s XPSの3つのピークはsp,spの結合状態の違いに起因するのではなく、それぞれ3つの炭素原子に結合した窒素、負の形式電荷を持つ窒素、そして炭素原子と結合していないフリーな窒素に帰属されることを提案した。
林 巧; 大平 茂; 中村 博文; 田所 孝広*; 舒 衛民; 酒井 拓彦*; 磯部 兼嗣; 西 正孝
Proceedings of Hydrogen Recycle at Plasma Facing Materials, p.213 - 221, 2000/00
原研TPLでは、プラズマ対向機器におけるトリチウムの透過、滞留、放出量を評価するため、対向材料(ベリリウム(Be), タングステン(W), 炭素材料(CFC))中のトリチウム挙動に関するデータを、イオン駆動透過法(IDP), 及びイオン/プラズマ/原子照射後の昇温脱離法(TDS)やオートラジオグラフ法により蓄積しており、本報では近況をまとめる。Be, Wでは、IDPやTDSの結果から、それぞれ約900,1500で試料を焼き鈍し処理することで内部転移が消え、透過は早くなり、滞留量はWで1/5程度に下がることがわかった。また、IDPの律束は、Beでは表面酸化物層の影響が大きく両側表面の再結合過程に、Wでは両側への拡散過程に支配されていることがわかった。CFC材はCX2002Uを用い、トリチウム滞留量がフルエンスの1/2乗(324)~1/3乗(674)に比例し、空気プラズマ照射により1/10に低減できることを見いだした。
武藤 俊介*; 竹内 稔*; 田辺 哲郎*; 倉田 博基; 北條 喜一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 38(3A), p.1514 - 1515, 1999/03
被引用回数:11 パーセンタイル:48.51(Physics, Applied)電子線照射されたグラファイトの損傷過程を電子エネルギー分光装置を用いて研究を行った。その結果、最近接原子間距離が照射時間とともに大きくなることをEXELFS(拡張微細構造)スペクトル解析で明らかにした。また、ELNESスペクトルは、高次フラーレンの特徴を示していた。
荒巻 能史
JAERI-Research 99-007, 22 Pages, 1999/02
原研むつ事業所は、平成9年4月に加速器質量分析装置(AMS)を設置した。当装置は、C/Cの精密測定が可能である。そこで本研究室では、AMSによる海水中のC測定のための前処理法を新たに開発した。海水中のCを測定するためには、(1)溶存している無機炭酸を二酸化炭素として抽出、(2)その二酸化炭素をグラファイトに還元する、の2つの行程が必要である。従来法では、作業が複雑なうえ、一試料あたり40分程度の時間を要した。新たに開発した方法では、(1)について、処理時間が2分の1以下に短縮されたうえ、回収率も向上し、(2)については、従来法の一部改良により簡便な作業が可能となった。
北尾 真司*; 三井 隆也; 原見 太幹; 依田 芳卓*; 瀬戸 誠*
Japanese Journal of Applied Physics, 38(SUPPL.38-1), p.535 - 537, 1999/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)グラファイト層間化合物は典型的な層状物質で、種々の物質を挿入した化合物が知られている。FeClは層間に挿入できる物質の一つで層間でどのような物性を示すか興味が持たれている。挿入されたFeClの研究として振動状態を測定することは重要であり、層間で振動状態が非等方的になっていることが予想されるが、挿入された物質に着目した振動状態の研究はいまだ少ない。非弾性核共鳴散乱は近年開発された方法で、元素を特定した振動状態の研究に有用である。われわれはステージ1のFeClグラファイト層間化合物を合成し、SPring-8のBL09ビームラインで6MeVに分光したFe核共鳴X線を用いて振動状態の角度依存性を測定した。その結果、X線をグラファイト層に垂直に入射した場合と平行に入射した場合でスペクトルに違いが見られ、グラファイトに平行な方向には層間のFe原子が振動しやすいという描像と一致する結果が得られた。
竹内 稔*; 武藤 俊介*; 田辺 哲朗*; 倉田 博基; 北條 喜一
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.280 - 284, 1999/00
被引用回数:24 パーセンタイル:84.01(Materials Science, Multidisciplinary)電子線照射したグラファイトの損傷過程を透過型電子顕微鏡と透過電子エネルギー損失分光装置を用いて調べた。その結果、ベーサル面内の長距離秩序が室温に比較して低温照射の方が早く変化(失われる)することがわかった。この変化は、電子的な変化や短距離秩序変化には影響を及ぼさないことがわかった。